あっ! 商店街の歩き方
2003.3.9
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今も季節とともに
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1970年代をそのままに

発行 彦根商店街連盟
編集 彦根商店街連盟広報部会
コミュニティセンター機能を有する専門店街として……
彦根市長 中島 一氏
彦根市長  中島 一氏

 これからの商店街は、消費文化の創造、生活文化の創造へとその目的転換が期待されています。それぞれのお店の集合体である商店街がコミュニティセンターとしての機能を有するよう進化していかなければならないと思います。
人々は何のために商店街に足を運ぶのか……ということなんです。
私は、これからの商店街が目指すものは6つあるのではないかと考えています。
 1つ目は、「まち」としての自覚をもつ商店街。例えば、花しょうぶ通り商店街では、商店街の人々が自ら彦根の江戸期の姿を再現されました。自分だけで「まち」の良さを自覚するだけではなく、訪れる人々にもご理解いただき、この商店街に住んでいる誇りを共有しようと、現在取り組まれています。
 2つ目は、情報機能を持つ商店街。
食文化やファッションなど、そこへ行けば様々な情報が手に入るということです。
 3つ目は、憩いの場としての商店街。
ゆっくりといい環境で音楽を聴くことができる喫茶店や、夢京橋キャッスルロードにあるようなポケットパークなど、ちょっと立ち止まったり、ほっとできるような場所が必要です。
 4つ目は、生活センター的な役割を持つ商店街。
商店街自体が、通りに沿って横に長いデパートというイメージかもしれません。そこに行けば、質の良い必要なモノが全て手に入るということです。
 5つ目は、ティーチングサービス機能を持った商店街。
例えば、登り町グリーン通り商店街で店先カルチャー教室(生活文化講習)が行われています。商店街のお店は、それぞれ専門とする知識や技術を伝える場でもあるわけです。
 6つ目は、地域のニーズに合致した商店街。
何でもありますとか、何でもききますということはもう時代遅れなんですね。
 実際、こういうふうに考えながら彦根の商店街は脱皮しようと努力されています。
 また、私は次の6つのライフスタイルを考えています。ビューティ(美的生活志向)、ホビー(趣味的生活志向)、アウトドア(屋外体験志向)、インテリジェンス(知的生活志向)、ヘルシー(健康生活志向)、インスタント(家庭節約生活志向)です。商店街は、こうしたライフスタイルを満たすことができるよう、より一層専門店街として変貌していく必要があると思います。既に、各商店街ではこれらのことを目指し、ファサード整備をはじめ、智恵と工夫を凝らした様々な事業が行われているわけです。
 さらに、彦根には多くの学生がいます。平成15年1月現在で、滋賀大学には2488人、滋賀県立大学には2220人、聖泉短期大学には238人が修学されており、うち滋賀県出身者は、それぞれ405人、665人、189人です。これらの学生をいかに商店街に誘致するかが活性化へのカギであると思います。学生をひきつけるような彦根ならではの商品開発が必要です。


まちを考える視点を変えることそして、より強力な広報活動
彦根商工会議所会頭 北村 昌造氏
彦根商工会議所会頭
北村 昌造氏
 
 商店街連盟創立20周年誌を読んでみると、既に30年前に、「中心商店街の各個店は専門化する必要がある」、或いは「各商店街との連携」「車でのアクセス」など記されております。それは、今の時代のことのようでもあります。
つまり、商店街がいつの時代にも考え、クリアしなければならないことのようにも思いますし、ニーズはどこにあるのか、賑わいをどういうふうに創るのか、どうやって足を運んでいただかくのか、商いの基本は変わらないということなのです。時代と共に人々の欲求は様々に変化しますから、市長の提案される6つの商店街と、6つのライフスタイルが21世紀の彦根の商店街の指針となるのだと思います。
 また、学生の方が街の中を歩いている姿をほとんど見かけませんね。学生の方だけを考えた場合ですが、どういうものを何を求めているのか。商店街がどうなっていけば良いのか……。そういうことを考えて変わっていくことも必要かと思いますが、いかにして商店街の人口を増やすかという異なる視点も大切かと考えています。例えばですが、銀座街の空きビルを学生のワンルームマンションに改造したりするのもいいかもしれません。また、高齢化社会を考えた設計をすれば中心市街地の人口増につながります。
視点を変えたところから発想し、働きかけ、実現していく……そういうこともこれからの商店街に期待されるところではないでしょうか。
 また、自然環境も含めて、歴史、文化、彦根はとても素晴らしい都市です。そういう彦根の良いところを外へ発信するということが、土地柄か彦根はとても下手なんですね。いろいろ努力はしていただいているのですが、まだまだ少ないのではと思うわけです。そういう内外に向けての発信力も、観光協会など他機関と連携しながらになるとは思いますが、商店街には期待されるところです。
 そういう意味では、商店街のイベント、企画、お祭りのなどの構造も変えていくことも必要ではないかと思うわけです。時代に即応した発進力のある変革をぜひ若い皆さんに考えていただきたいと思います。

商店街のホスピタリティと賑わいをつくる演出

市長 イベントも、集客力を高めるための彦根ならではの特色を出していくことが大切です。
 また、建物の店構えを整えるだけではなく、その中に、商店街独自の文化が生まれ、定着するようなモノやコトでなくてはなりません。
 さらに、「モノやコト」だけではなく、「人」が重要なんです。訪れる人をもてなすホスピタリティがないと……。各商店街でファサード整備をされていますが、建物の表をきれいにするだけじゃなくて、その中にある、商品も魅力あるモノに、更にホスピタリティも素晴らしいものなっていくことを期待しております。そして、そのためには、商店街全体がこのまちはどういったことを目標にして顧客を呼び寄せるのか、はっきりしたコンセプトを明確にアピールできればなりません。アクションを起こすということは、何を誰にどうしてという「ハウ トゥ(How to)」を考えないと発展しないということです。「ハウ トゥ」が明らかになれば、商品のクオリティも更によくなり、どのようなホスピタリティが望まれているのかも見えてくるのではないでしょうか。そして、賑わいの基をつくる商店街に求められる演出も、その過程で生まれることでしょう。

お客さまと共に元気に育つ商店街

会頭 大切なことは、商店街はそこを訪れるお客様によって支えられているということです。商店街を訪れる人が増え、再び賑わいが戻ってくれば、まちは自ずと元気になります。
 店の経営センスは言うまでもなく、いかにして商店街を活性化していくのか……、そのために商店街のファサードを改修するのもいいでしょう、彦根の名物づくりもいいでしょうし、市長の言われるように賑わいを創る演出やティーチングサービスも素晴らしい事業で商店街にはなくてはならない要素です。日常生活と非日常、ハレとケのバランスを考えてゆくのも必要だと思います。
また、近江商人の時代からの良き伝統と言えますが、お商売は「おかみさん」の力で支えられているとも言えます。これからの時代ますます女性の感覚やパワーを活かしたまちづくり、商店街づくりが期待されているところです。
 そこに暮らす人も地元のお店も、地域をもう一度見直してみてください。素晴らしいお店が彦根には本当にたくさんありますし、まだまだ使われていない宝物のような地域ストックや、訪れる人がほっとする彦根の歴史的景観が中心商店街にはまだまだ手つかずで残っているかもしれません。そこに暮らしている人々が応援してくれることで、もっと商店街も頑張る……。
そうやってお客さまと共に育っていく商店街というのが理想ではないでしょうか。そして、彦根の商店街では、既にそういう動きがあちこちで始まってきています。

この記事は、2003年3月9日執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合がございます。