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発行 彦根商店街連盟 |
編集 彦根商店街連盟広報部会 |
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彦根の出身者ならば一度は必ずお世話になっているのが「三宅ネーム」である。ほら、体操服に名字が刺繍してあったでしょ、仕立てのいいスーツの内ポケットにも……。
電動ミシンを駆使し、ひとつひとつの文字がミシンの針が縫い取るたびに現れてくる。
三宅源八さんは二代目、三宅ネームは創業してから50年になる。忙しい時はミシンに向かい、一日中、座りっぱなしなのだという。
「コンピュータでもできるのですが、自分でやった方が速いですね。大量に同じ刺繍をするならばいいのですが、名前は皆違っていますし、コンピュータを設定するのに時間がかかります。コンピュータに登録されていない文字もありますから。最終的に人間の手でしかできないんですね。」
源八さんは父の仕事を見ている間に手仕事を覚えたという。なんとか出来るようになるまで三年。お金をいただけ、自分で満足のゆく仕事ができるまで十年かかったという。一文字にかける時間は長くて30秒。失敗の許されない、厳しい手仕事の世界である。店舗では、高級服地・ボタン・裏地・芯地・生地……付属品、洋裁に関係する全てのモノが商われている。勿論、仕立てからお直しまで請け負っている。洋裁や洋服で、一生のお付き合いができるのが三宅ネームなのである。
「量販店に対抗するには、超一流の技術が必要です。自分で作れないモノを大切にしたいですね。紙でも鋏でも……。」
三宅さんは語る。
今、使っているシンガーのミシンは15年。まだまだへこたれる代物ではないという。 |
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