あっ! 商店街の歩き方
2002.12.10
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発行 彦根商店街連盟
編集 彦根商店街連盟広報部会
寄稿 滋賀大学経済学部長 北村裕明
PROFILE
北村裕明(きたむらひろあき)
1953年生まれ。1976年京都大学経済学部卒業。1981年京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。1981年滋賀大学助手、講師、助教授をへて、1996年より教授。財政学、地方財政論、非営利組織論担当。2002年4月より経済学部長。

 






大学院をおえて滋賀大学経済学部にお世話になって、21年を経過した。私にとってこの21年は、彦根の魅力の発見の歴史でもある。
 滋賀大学経済学部のキャンパスは、東が彦根城に、西が琵琶湖に隣接している。したがって、研究室は、湖を臨む側か、お城を臨む側かに位置している。世界の大学の中で、レイク・サイドでキャッスル・サイドのキャンパスは非常に珍しく、アメニティ・バリューにとんだキャンパスなのである。
 しかし、学生たちはそのことをあまり魅力に感じていないし、キャンパス内の資源の魅力も市民に公開されていない。私たちは、大学構内の魅力に富んだ施設を回遊できるようなキャンパス・ツーリズムという試みを通して、学生にも市民にもキャンパスの魅力を感じてもらえる取組を開始しようとしている。
先日、子ども環境創作狂言「芹川」上演前のトークで、コーディネーターを務めさせて頂いた。芹川の堤防とけやき並木には、彦根の歴史が刻みこまれているし、自然と人間との営みのあり方が端的に現れている。狂言の中で演じられる「きせない」という彦根盆歌の、素朴さと叙情性には心を打たれた。子ども創作狂言という新しい仕組みづくりの中で、芹川の魅力が再発見されてゆくのである。
 人口10万人の街で、滋賀大、滋賀県立大、ミシガン州立大学連合日本校、聖泉短大という高等教育機関が集まっているのも大きな魅力である。大学は、教育によって人材を養成し、研究を通してソフトを生産するという点で、未来産業の中核を担う知識産業なのである。彦根市の新しい総合発展計画の中でもふれているが、彦根に大学の共同利用施設が設立されれば、大学街としての彦根の魅力は、大いに増すであろう。
 商店街をはじめとして街づくりを考えるということは、地域のこうした魅力を再発見し、そのために必要な仕組みを作ることである。キャンパス・ツーリズムも、創作狂言も、大学の共同利用施設もそうした魅力を再発見する新しい仕組みなのである。何か新しいものを外から移入して、こと足れりとする街づくりは必ず破綻を来すであろう。
 そうではなく、地域の魅力を再発見し、新たに創造し直す仕組みが必要なのである。彦根の魅力の発見と創造とは、そうした過程に他ならない。


この記事は、2002年12月10日執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合がございます。