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発行 彦根商店街連盟 |
編集 彦根商店街連盟広報部会 |
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「此の附近一帯は彦根城の外堀でありましたが、昭和の中頃に埋め立て外馬場公園となりました。又、町名も伊賀流の忍者衆が居住していたので伊賀町と称しましたが、先年町名の改正に依り錦町となりました。(彦根史談会・細江敏)」と書かれた石の碑があり、「うを七」という名の川魚専門の魚屋さんが商いをしている。商店街から路地を入ったところにある。建物は登リ町グリーン通り商店街のマリア・テレジア・イエローをしている。
店先にはしじみが美しい流水に半透明の白いヒロヒロを出している。
うを七のあるこの場所は彦根城外堀の水源だった。今でも生け簀は湧水である。
さすがに銀座街にビルが建ち始めてからは水量が落ち、ポンプで汲み上げているというが美しい水の湧く場所である。
一般に川魚は独特の臭いがあると言われているが、うを七の川魚は臭みが無くて美味しいと昔から評判だった。
その秘密はどうやら、この湧水にあるらしい。湧水の生け簀に放たれた魚は臭みが消えるのだ。
考えてみれば、調理には美味しい水が基本である。どんなに優れた素材であっても洗うのも水、煮炊きも水なのである。
美しい水は素材の基本だ。
遠い過去を今に伝える水脈。中央町と登リ町グリーン商店街の間、彦根の市街地に湧く水で、彦根産の川魚を手に入れるというのは、まことに贅沢なことのような気がするのだが。
一度、お訪ねあれ……。
この記事は、2002年11月10日執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合がございます。
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