2004.11.15

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学生さんとのおつきあい 1
学生さんとのおつきあい 2
ゑびす講
発行 彦根商店街連盟
編集 彦根商店街連盟広報部会
アートフェスタ勝負市

夜空に浮かび上がる彦根城。硬式テニス部の1日の練習が終わり、美しくライトアップされた古城が、足の痛みを忘れさせてくれる。彦根は学生にやさしい街だ。
練習後、私のお気に入りのコースは、商店街の回遊だった。スポーツショップに立ち寄り、お好み焼屋のサービスメニューで夕食、そして、パチンコ。都会のように、最新の流行のものが並んでいるわけではない。それでも、何か落ち着く彦根の街の雰囲気が心地よかった。
商店街から袋町へ。大学3回生になって、週に1度、ちょっとした贅沢を楽しむようになった。行く店は滋賀大学の体育会のクラブが代々通う居酒屋だ。メニューは多くない。おでん、焼き鳥、あさりの定番メニューを肴に、ビール、焼酎、日本酒。おばちゃん2人でやっていて、私は木のカウンターの角を指定席に、学習塾でのアルバイトを終えた後、大人の気分を味わった。クラブの同僚と議論し、あるときは、他のクラブの先輩と語らい、また、おばちゃんから卒業した大先輩の話をきいて、社会人になるための予行演習をしたような場所でもあった。楽しかった。
毎年秋に行われるテニス部のOB会でも必ず立ち寄る。戸を開けて、店に入るときは「ただいま」と言うのが卒業生の決まりだ。世代をこえて、皆が学生時代に戻る瞬間、あのころはよかった。そして、翌日から1年間の仕事の活力になる。いまは店を開けていないのが残念だ。
彦根の街がなぜ落ち着くのか。それは、安らぎを作る「プロ」がそろっているからだと思う。商店街の各店には、ちょっとした工夫とこだわり、そして商品知識が豊富な人たち。居酒屋のおばちゃんのトークは程よい加減で、疲れがとれる。卒業してから、一部で、街の景観が変わり、国道沿いには、チェーン店や大型店も増えた。そんな中で、人がつくる「プロ」の街、彦根の心意気が変わらぬことを願いたい。


 この記事は、2004年11月15日執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合がございます。