2004.3.31

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商いでまちは変わる その1
商いでまちは変わる その2
商いでまちは変わる その3
50周年記念事業を終えて…
発行 彦根商店街連盟
編集 彦根商店街連盟広報部会
田原滋康氏

昨年、私は彦根観光協会の専務理事として、40年ぶりに彦根の地と縁を結ぶことになりました。いろは松からの彦根城は一番好きなビューポイントです。以前と全く変わっておりませんが、旅行業(JTB)で長く商品を創り、販売してきた私の目には、懐かしいという気持ちだけでなく、どうしても「商品」としての価値があるか否かという見方になります。旅行という「商品」は乗り物、宿泊、観光資源(見る、食べる、経験する)を組み合わせ、お客様の好み(ニーズ)にあった形に創造し販売し、買っていただくものです。今までは商品を創り販売(営業)してきましたが、これからは彦根の観光資源を持って彦根市の観光の振興に邁進していくことが私の役割(ミッション)だと思っています。
彦根には毎年300万人の来訪者があります。その内約20万人が宿泊し、彦根城には40万人が入山します。しかしそのお客様の多くは「点」の観光で終わられます。滞在時間を延ばし、広域に行動をしてもらい、まちや商店街を回遊していただかねばなりません。その資源は彦根に十二分にあると私は思っています。お城と城下町、川やお堀、琵琶湖があり、さらに歴史や文化、大学が四校…、集客都市として可能性を持ったまちです。
観光というと彦根を訪れる人々をイメージしがちですが、実はそうではなく、現代では、まちに働きに来る人、学びに来る人、買い物に来る人…、つまり移動する全ての人々を観光の対象と考えようとしています。
彦根のまちのビジターを誘致するという考えを商店街がもつことで、観光が彦根の新しい産業と成りうる可能性が生まれてくると思うのです。それぞれのお店が魅力にあふれ、各商店街も集客に知恵を使い集客力を増す。そのことは、結果として、彦根で暮らしている人々にとって、住みたい町、住んでよかった町というまちづくりに繋がってゆきます。ビジターにとって魅力的なまちは、市民にとって「誇り」となることはいうまでもありません。
また、魅力的な商店や飲食店などが生まれ、新たなライフスタイルを楽しむことができる場所が生まれれば、雇用や投資も期待でき、新しい産業創生にも繋がってゆきます。

行政や商店街、観光業者だけでなく、彦根で暮らす市民も一緒になって彦根の魅力について考えましょう。商店街を日常の買い物の場としてだけでなく、ビジターとして歩き、見つめ直すのもいいでしょう。そこには新しい発見が必ずあるはずです。そして、素敵な魅力ある彦根を大いにもっと宣伝しましょう。
ところで、観光が政策の中心に捉えられたのはつい最近のことで、今や日本は国も県、市も観光立国、立県、立市を目指しています。即ちサービス産業、ライフスタイル産業、観光産業が地域資源活用型産業となりつつあります。そして、観光産業がリーディング産業になって行くことが予想され、地域における産業構造の変化も既に始まっているといえるでしょう。
昨年より、市役所を中心に「彦根観光まちづくり懇話会」で様々な議論をしています。成案をして近々彦根市に提案をする予定です。


田原滋康氏 経歴

1941年2月10日彦根市元岡町生
1984年2月 JTB京都四条支店長(京都東ライオンズに入会)
1988年2月 JTBエース事業部部長
1990年2月 JTB関西営業本部副本部長
1993年2月 JTBトラベランド常務取締役
2000年6月 JTBティーエスエヌ社長
2003年6月 JTB退職
2003年7月 彦根観光協会 専務理事

 この記事は、2004年3月31日執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合がございます。