寄稿 京都橘女子大学 文化政策学部教授
織田直文氏
PROFILE
織田直文(おだ なおふみ) naofumi ODA
1952年石川県生まれ。福井大学工学部卒業。京都橘女子大学文化政策学部教授。
京都大学博士[工学]。専門は「まちづくり学」「地域計画論」。「ひと・まちネット滋賀」幹事。1980年から県内各地のまちづくり研究・助言活動を続ける。近年は中心市街地活性化・商店街振興や市町村合併、市民活動、ネットワーク論などの研究に取り組む。著書は『まちづくり診断』『我らネットワーク元気人』ほか多数。 |
フロンティアといえば、普通は荒野を開拓していくことを連想するかもしれない。私は、埋もれている地域資源を再発見し、磨きをかけ再生する、また時には斬新な発想で魅力を創出することも含め、まちおこしのキーワードとして使っている。
城下町といえば、一般的には伝統を重んじ、保守性が強調される。一見すると静かで何も動いていないように見えるが、その初めには藩主も武士も、商工業者も農業者らも皆、新都市建設に燃えていたはずだし、その後何百年もの間の繁栄を通じ、今日まで都市を存続させてきた歴史には、人々の夥しい建築・建設、産業、生活、文化・芸術など多様な面での創造活動という営みの蓄積を感じる。つまり、城下町こそは創造空間なのである。
今まさに彦根はそのことに再度目覚めたのである。夢京橋キャッスルロードの整備をかわきりに、中心市街地活性化法に関連して市街地の再整備やTMO(タウンマネージメント機関)事業での商店街再生などの連続事業を見てもおわかりのように、まさに彦根は今、城下町フロンティアの真っ最中である。
そもそも商店街空間には実に多くの魅力が備わっている。1.その都市の顔 2.地域文化の殿堂空間 3.イベント・劇場空間
4.地域の商業・生活サービスセンター 5.防災・安全センター 6.福祉空間 7.おもしろグッズの宝庫 8.カルチャースクール
9.最先端のテーマパーク・観光・リゾート地 10.ビジネスチャンスの場等々……、まだまだある。これらの魅力を生かしつつ、一方で大胆な創造が進んでいる。
生まれ変わった銀座商店街、イベントに新規事業に話題の欠かない花しょうぶ通り、エキゾチックで店先カルチャーが花開く登リ町グリーン通り、大正ロマン漂う四番町スクエア、あきんどのまちおいでやす商店街も近く再出発する。「よりーな」や学生による「ACTステーション」など各所に新たなスポットもでき、市民が主役の〈チャレンジショップ〉も頑張っている。
要は、プラス思考だ。ハード&ソフトだ。市民、商業者等の事業者、行政、専門家の連携だ。フロンティアはチャレンジ、そしてロマンでもある。
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