
嶋津慶子 夢京橋商店街
商店街連盟広報部長
50周年事業部会委員

藤野一雄 四番町スクエア
1960年頃より、市場街役員、商店街連盟役員を務める。

若林成幸 中央商店街
彦根商店街連盟副会長

小川太一郎
花しょうぶ通り商店街
前上恵美須商店街会長を30年間務める。
商店街連盟元副会長
現商店街連盟監事

北村久雄 夢京橋商店街
本町本栄会当時より商店街活動を続ける。現在、夢京橋商店街振興組合理事

野瀬正雄 橋本商店街
26歳より40年にわたり商店街連盟の活動に参加。昭和46年事業部副部長

松居 昇 銀座商店街
商店街連盟創立20周年記念誌部会長
商店街の個性
野瀬さん 亡くなりましたけど、滋賀大学の小倉栄一郎先生が120軒の近江商人の家訓をずーっと調べておられて、結局、共通しているのは「質素倹約、勤勉、努力」です。彦根でも百年ぐらい続いている店が何軒残っているかわかりませんが、そこに共通のモラル、家訓があるはずです。そういう所を勉強すれば、案外まだこれから生き残れる余地があると思います。橋本商店街は独特のまちで、芹川の橋が一番に鉄筋になりましたし、まちの舗装も、アーケードができたのも、商店街の駐車場ができたのも滋賀県で一番でした。先人のそうした共通したパターンがあるはずです。更に、橋本商店街の場合は他のまちとちがって、同業者が多かったので、毎日切磋琢磨してやってきたわけです。
小川さん 花しょうぶ通りは、上恵比寿商店街といいました。橋本商店街と違うのは、様々な業種が揃っていることです。蝋燭屋さんしかり、糀屋さんしかり、風呂屋さんも郵便局もあって、呉服屋さんはなくなりましたけれど。1軒1軒がしっかりしていて商店街全体で人を集めるということは、あまりありませんでしたね。ゑびす講の話がでましたけれど、上恵比寿商店街には人は集まりませんでした。露天商に出店してくれと呼んだんですけど、1日目の午前中に、皆、引きあげてしまったということもありました。
藤野さん 四番町スクエアという名で、生まれ変わった市場街ですが、商店街のルーツは実は行政にあります。彦根のまちをなんとか振興させようと公設市場が設けられてからのスタートなんです。第一町設市場を設置したのが大正10年11月10日。自然発生的なものではなくて、ある意味で人工的な商店街です。町が作った町設市場ですから。当初は7軒で同業者も並べているんですよ。肉屋さんも2軒ほどあったし、八百屋さんも何軒かありました。市場通りという名前で、人がよく集まるから、新しい店ができてゆくんですね。昔は公設市場が三つありましたが、そのなかで市場街だけが今も残っています。何故かというとゑびす講にぶらさがったんです。いつも11月15日ぐらいに川原町や中央町の奥さん方が準備の惣菜などを買いに来られたんじゃないかなと思っています。当時は漬物を漬けるのに大根がたくさん売れましたしね。
これからの五十年
司会 昔のお商売屋さんは覇気があって心意気があってすごかったんだなーとお話を聞いていて思いました。花しょうぶ通りはUターン組の優秀な人材がそろっていますね。
小川さん 外で鍛えられた人が何人も帰ってきて商売に取り組み、知恵を使っててくれると思います。僕らが考えられないような人を集めてきてくれます。ナイトバザールや6月の勝負市では、いわゆる買う人ではなく、売る人を集めてくるんです。
野瀬さん J・Fケネディーの就任演説ではありませんが、商店街が何をしてくれるかではなく、各商店がお客さまに何ができるかなんです。これからは、商売でもなんでも底辺の市民のコンセンサスを得た、下からの盛り上がりのあるようなものをつくっていかないと長続きしないですね。商売人は我がまちのためにただ口先じゃなく、力も出すし、お金も出す。プロデューサーが2〜3人いてくれるとよくなるんです。そういう若い人たちを育てるのが義務なんです。
小川さん ショッピングセンターなどでは、買い物の途中にいろいろのお店に立ち寄ることができます。これ包んでおいて…、ちょっと向こうへ行ってくるから…と、別の買い物ができるんですね。20〜30分のお買物を効率よく楽しめるわけです。お客様にはとても便利です。いまの商店街では目的のところでじっと待っていないといけない。そういう意味では時間を上手に使っていただけるよう工夫してゆかなくてはなりませんね。
野瀬さん 長浜が発展しているのは、盆梅展や曳山まつりを中心に着物園遊会など、年間に5〜6回いろんなイベントを続けてるわけです。彦根には城といういい舞台があるけれど、プロデューサーがいないですね。実は、盆梅ももともとは彦根、楽々園であったんです。もう一度掘り起こし、新しくチャレンジしてゆくのもいいかもしれません。
松居さん 私たちの時代は商売もニーズに合致していたんですね。受け継いだ商いにこだわることも大切ですが、量販店に対抗してゆくためには一方で時代に適合した思い切った商売替えを考えてみてもいいのではないかと思っています。
北村さん お店は商店街連盟と各商店街に加盟して、様々な活動に参加しています。イベントもそうですし、町並みの維持管理や、街灯の電気代や町並みの整備なども、加盟店から徴収されたお金で賄われています。昔は、まちを何とかしなければと皆で頑張ってきたわけですが、最近では商店街の活動に参加されないお店も増えました。まちづくりということを考えるとぜひ入って欲しいですね。商店街の取り組みも足並みがそろいませんし、まちのために、賑わいを取り戻すために協力していただけるようにしたいものです。
それぞれのお店が少しずつまちのために力を尽くすことが、最も大切なことではないでしょうか。そういう気持ちがまとまらなくては、市民の方にもまちを振り返ってもらえないのではないかと思います。
小川さん 様々なことがギスギスしている時代です。ゆとりという潤滑油がなくなってしまったんですね…。
安いものを商えばいいというのではなく、心を込めたものを提供してゆく、心を売ってゆくことが大切だと考えています。
彦根商店街連盟としても、単一商店街ではできないことを、量販店に対抗するために取り組んでゆかなくてはなりません。
遊びや憩いを感じてもらえて、楽しみながら買い物をしていただけるまちにしたいですね。
藤野さん そういえば、東京も下町あたりだと大型店の影響が少ないので商店街が生き残っているところがまだまだあります。買い物に行き、お店に入ると、なかなか親切なんです。対面販売の良さを活かしながら、若い人たちが頑張れる商店街づくりをしてゆかなければなりませんね。
若林さん もう一度、賑わいを取り戻すにはどうするのか…。商店街にどんなお店があるのかも、ご存知無い方がほとんどだと思います。知られていないだけで、びっくりするような魅力的なお店もあります。そこで商店街連盟では50周年事業の一つとして、「一店逸品ガイドブック」を作成し、彦根商店街連盟加盟店などで無料配布しています。
また、商店街巡りをしていただければと、抽選で総額250万円が当たるポイントラリーも実施中です。まちを歩き、我がまちを見直すきっかけにしていただければ嬉しいですね。お客さまとのと新しい交流が生まれればと思っております。
司会 お店にきてくださって、話していってくださるのが商売人にとって一番嬉しいことですよね。