あっ! 商店街の歩き方
2002.12.10
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モダン、どんつきの街

発行 彦根商店街連盟
編集 彦根商店街連盟広報部会
理髪館の意匠。
彦根カルタの読み札をデザインした提灯は11月初旬、商店街の街路灯に取り付けられた。

 昔の面影を色濃く残す「花しょうぶ通り商店街」。地図をみると……、気づくことがある。十字路が無いのだ。T字路ばかりなのである。彦根流に言うと『「どんつき」ばっか』となる。
「どんつき」という言葉は「行き止まり」という意味で彦根独特の言葉らしい。広辞苑で調べてみると、「どん詰まり」は掲載されているけれど「どんつき」は無いのだ。
商店街発行の「彦根花しょうぶ今昔絵巻(いにしええまき)」という地図にはこう説明がある。
『江戸初期に作られた城下町特有の戦略的町割の名残が今もそのまま花しょうぶ通りで見られます』。
見通しがきかないというわけである。
 ところで、商店街の南に位置する「袋町」は江戸時代から続く粋な旦那衆の遊び場だったところだ。歴史を彩った井伊直弼、長野主膳や村山たか女も袋町に出入りしていたことはよく知られている。つまり、歴史を遡ると、袋町はモダンな文化が一番に取り入れられ、情報が集まり発信されてゆく場所だったということになる。
 そして、そこに隣接する商店街は必然的に、粋でモダンな人々が行き交い、建物も人々の心意気を現すモノとなっていったわけだ。
現在はファサード事業が進み、和を大切にしたまちの景観がつくられているが、洋館は当時のままにエキセントリックな佇まいである。
 バリカンと櫛のオブジェが建物を飾っているのは宇水理髪館である。左官で有名だった袋町の沢藤三兄弟の作と伝わっている。昭和初期の建物だが、高価なベルギー製のタイルやカットガラスを使った店舗づくりが行われたという。最先端のモダンに触れた、人々の様子を想像するのはそう難しくないだろう。
 花しょうぶ通り商店街は、その他にも、今も昔のモダンを隠し持っている。糸電話もギリギリの使えるほどの道幅も素敵だし、商店街を歩くうれしさがこみあげてくるのも確かだ。
 是非、一度、どん詰まりの「道」体験を……。

この記事は、2002年12月10日執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合がございます。